学校事務職員・教員(先生)の住居手当について (支給額及び注意点)

学校事務の勤務条件

前回↓の続きとして今回は「住居手当」の支給額と注意点について書いていきます。

今回も同様となりますが、同じ都道府県や政令市に努める教員(先生)も基本的に同じ制度になりますし、行政の一般公務員も似たような制度になりますので、学校事務職員になりたい人だけでなく、先生や公務員になりたい人にも参考になると思います。

(注意‼)都道府県や政令市の規定によって支給要件や金額などに違いがあるので、必ず確認するようにしてください。

住居手当の支給額について

住居手当の支給額は以下の計算式で求めます。

  • 23,000円未満の場合     家賃額-23,000(円)
  • 23,000円以上の場合    (家賃額-23,000)/2+11,000(円) 最大27,000円

となりますが、計算式は当該地域の家賃水準によるかもしれません。

また、政令指定都市では、自治体内の居住で3,000円程度の増額がされている場合があります。

これは

  • 災害時の参集のしやすさ
  • 住民税を勤務先に支払う
  • 通勤手当が安価に抑えられる

などの理由が考えられます。

上記計算式の場合、上限額に達する家賃額は、55,000円です。

 (55,000-23,000)/2+11,000
 =32,000/2+11,000
 =16,000+11,000
 =27,000(円)

となり、最大額と一致します。

また、ここでいう「家賃」とは契約書に記載されている正味の「家賃」のみであり、共益費や駐車場代、光熱水費などは除外されます。家賃額に「共益費含む」の記載がある場合は、明確に分けてもらうようにしましょう。そのままでは認定できない場合があります。

住居手当で気を付けるべき点

住居手当の受給において、今までの経験上気を付けるべき点をお伝えします。

変更の申請漏れ

支給条件のところでも記載しましたが、住居手当を含む各手当は「申請主義」を採用しています。

申請が必要な条件は、規則等に定められいますが、住居手当は意外と申請漏れが起きやすい手当ですので注意してください。

申請が必要な場合は

  • 支給要件の具備するに至った場合(支給される条件がそろった場合)
  • 支給要件が消滅したもの(支給される条件を満たさなくなった場合)
  • 申請当初と契約内容に変更が生じた場合

の3つの場合があります。

上2つは特に問題ないかと思いますが、注意が必要なのは3番目です。

契約内容に変更が生じた場合とは、わかりやすい転居による物件の変更だけでなく、

  • 契約主体である貸主の変更
  • 家賃額の変更

も含まれます。

契約主体である貸主の変更

これが一番抜けやすい場合ですが、簡単に言うと大家さんが変わった場合です。

例えば、

  • 大家さんが物件を誰かに売却した場合
  • 大家さんが死亡し相続人に相続した場合
  • 所有会社が会社名を変更した場合       などがあります。

この場合、ただ単にハガキや封書がポストに届き、通知されるだけか変更に同意するかの確認を取られるだけで、職員本人は何ら日常生活に変化がないため流してしまいがちです。

契約主体である貸主の変更は、賃貸借契約の重要事項の変更であることを意識してください。

家賃額の変更

意外かもしれませんが、家賃額の変更も意外と抜けやすい項目です。

家賃額が上がる場合と下がる場合がありますが、今まで経験上は下がる場合は意外ともらいすぎてないかが気になって、相談に来てくれるため、上がる場合の方が抜けやすい印象です。上がる場合は自分が損してるだけ や すでに上限に達しているから申請しても変わらない と深く考えていない場合が多いです。

家賃額が変更される場合は

  • 定期更新時に交渉等で家賃額を下げてもらった場合
  • 管理費等の影響で2年に一度家賃額が上がるなどの場合
  • 県営住宅等で収入により家賃額が変動する場合

などがあります。

契約内容変更の申請をわすれると

契約内容変更の申請を忘れると考えている以上に大きなデメリットがあります。

上記にも書きましたが、手当は「申請主義」です。申請が必要な契約内容変更の申請を忘れる(怠る)と、最悪のケースでは、変更日に当初申請されていた契約は「消滅」し、適切な「申請」がなかったものとして、変更日にさかのぼって手当額の返納を命じられる場合があります。(その間も家賃は払っているのにです。)

実際には、家賃額が下がり手当を過剰にもらいすぎていた場合に返納を命じられる場合が多いですが、「手続きを怠った」として、口頭注意や訓告などの処罰を受けることがあります。

また、「手続きを怠った」状況が故意や悪質だった場合は、返納に加え「戒告」などの懲戒処分を受けることもあるので注意してください。

悪質の例としては、

  • 申請するよう再三指導があった場合
  • 通知や事務職員等から具体に説明されており、気づくことが一般的である場合
  • 事後の確認できちんと確認せず、記憶だけで適当に回答していた場合

などがあります。

職員においては、手当に関係する事項に変化や疑問があった場合には、すぐに事務職員等に相談すること

事務職員においては、日ごろから相談されやすい関係づくりや雑談の中からでも気づく情報感度を持つこと

が大切になりますので、お互いに注意しあいながら進めていきましょう。

ルームシェアの場合

最近増えてきているルームシェアの場合も基本的には住居手当の対象となります。

住居手当は「借家」だけでなく「借間」も対象です。

ただし、契約書等で本人が契約関係や負担すべき家賃額など住居手当の要件を満たしていることが条件です。

友達が借りた部屋に一緒に住んでいる場合などは認められません。(そもそも賃貸借契約違反の可能性が高いですが)

フリーレントの場合

新しい賃貸借契約を結ぶ際に、「家賃1ヶ月無料」や「月途中のため家賃は来月分から」といったフリーレントの契約を結ぶことがあると思います。

この場合は住居手当は支給要件の項目でも書きましたが、家賃が発生した日が事実発生日となるため無料期間中の手当を受給することはできません。

契約書をよく確認しましょう

先生方に限らず、多くの方がそうかもしれませんが、契約書はよく読みましょう。

これは手当の認定事務をする事務職員も同じです。認定に際しては提出された賃貸借契約書をきちんと読み、本人の申請と齟齬がないかを確認しましょう。

今まで、認定の際に私が気づいた内容は

  • 住所の誤り
  • 部屋番号の誤り
  • 共益費の金額誤り
  • 契約書(重要事項説明書)内の誤字脱字
  • 特約条項の内容間違い
  • 契約日の記載漏れ

など、ありえないようなミスもあり、なかなか多岐にわたります。

住所の誤りは、通勤認定をする距離やルート確認時にネット上の地図を出そうとしたところ、一致する住所ありませんでした。新築のため反映されていないだけかと思い、町名で検索した範囲から本人に確認したところその範囲になかったために発覚しました。○○町と○○北町といった違いです。この時は住民票の変更も行った後だったため、本人も訂正申請を行いに役所に行くなど大変な手間がかかっていました。

共益費の金額誤りも見たときに驚きました。共益費の項目に記載があった金額はまさかの 80,000円!! 家賃額よりも高い金額が記載されていました。若い先生で「説明ではきちんと8,000円と言ってました」とのことでしたが、すぐに連絡して必ず訂正もしくは再作成をするように伝えました。すでに印鑑を押していたため、不動産会社の持つ写しもできる限り返却してもらうか目の前で破棄してもらうよう伝え、管理職からも念押しをしてもらいました。その担当者がいる間はまだいいですが、法的効力を持つのは契約書です。金額が金額なので無効になる可能性も高いですが、不要な火種は消しておくことが無難です。

そのほか、重要事項説明書の特約条項で明らかに「貸主」と「借主」を逆にしたもの(本人かなり有利)、契約日などの日付が抜けているもの、など様々なものがあります。

不動産会社のミスであることが多いですが、印鑑を押した本人の責任も決して低くはないので、十分注意してください。

さらに、賃貸借契約書に不備がある場合、住居手当を認定できない場合があります。特に申請に必要な日付・金額などが抜けている場合は、本人の申請を補完する添付書類の提出がないため認定はできません。

賃貸借契約はしっかりと確認するようにしてください。

住居手当は課税対象です

通勤手当と異なり、住居手当はそのすべてが課税対象となります。同じ年齢の同期と比べ、所得税や住民税が高く、また社会保険料も高くなりますので、参考までにお伝えします。

さいごに

扶養手当からはじまり、通勤手当・住居手当と説明をしてきましたが、手当を受給するためには、職員本人の協力が必要不可欠です。冷たく言ってしまうと「手当をもらいたいならそれ相応の準備をしてください」ということになります。

人によって対応を変えることはありませんが、事務職員も人間です。「きちんと相談してくれて話を聞いて行動してくれる人」と、「文句ばかりでなかなか書類をそろえようとしない人」とでは、モチベーションに影響があるのが正直なところです。

職員本人と身近に接して仕事をし、先生方の忙しさを感じている事務職員は、できる限り先生方の力になりたいと思っています。先生一人ひとりの生活環境や家庭環境がさまざまな状況あるのも直接話しを聞いている事務職員をよくわかっています。

それでも、手当の原資は税金であるため、いくら私たちが先生を信用・信頼していようと役には立たないのです。職員本人の状況が証明できる書類が揃わなければ認定できない。事務職員が良くても、役所が、監査委員が、そして住民がそれを許さないことを理解してください

給与や認定事務担当の学校事務職員の方は、庶務担当である事務職員が学校現場に配置されている意義・意味を考えて、先生方の相談にのり、時には担当課に問い合わせて、先生方が適切に手当を受給できるように努めてあげてください。

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